人気ブログランキング | 話題のタグを見る

山について語るときに僕の語ること(What I Talk About When I Talk About Mountain)

uobmm.exblog.jp
ブログトップ
2010年 12月 17日

冬山に向けての準備~アイゼンあれこれ

冬山に向けての準備~アイゼンあれこれ_d0138986_1841727.jpg

少し遅ればせですが今週末からいよいよ私の今シーズンの雪山がはじまるので、昨日、今日とアイゼンをいじり、バイルやアイゼンの爪をヤスリでといだりしました。
こういう作業をしていると、冬山に向けて気持ちが入ってくるのがわかります。
大切なことかもしれません。

ところで、この冬は一般登山用のアイゼンを新しく購入しました。
去年まで使っていたアイゼンはスノーシャットがとれかけ、爪もまんまるになっていましたので。
アイゼンは何よりも大事な装備ですから、私のような職業のものは、早めに買い替えるにしくはないでしょう。
ちなみに4シーズン使用しました。(ぜんぜん早めじゃない!?)

さて、いまアイゼンを新しく買うならやはりこれでしょう!
ブラックダイアモンド社が昨年世に出した、そう、ステンレス製のアイゼンです。
少し軽量になったというふれこみですが、計ってみたら今まで使っていたペツルのものとまったく同じ重さ(片方480g)だった。ガクッ。
従来のBD社のものに比べると軽量化されているのだと思います。

ちなみにアイゼンのバンドはペツルのものと付け替えました。
BD社のバンドは黒ですが、ペツルのバンドの方が明らかに色的にあっています。
カラーコーディネートだけでなく、ペツルのバンドは細いので、アイゼン前部のプラスチックカップに通しやすいです。BD社のバンドは特に幅広なのでプラスチックカップに通すのがちょっとストレスと思いました。
ただ、BD社の新しいアイゼンは従来のものから改良されていて、バンドの付け替えが簡単ではありませんので、真似してペツルのバンドをつけようという方は、心してかかってください。
(バンドをしめる際、バンドがうしろのビンディングの中でずれにくいように改良されているのです。私は従来のアイゼンでは、このズレ防止に結び目を入れていました)。

ちなみに言えば、ペツルのアイゼンにはペツルのバンドをつけていたのではなく、カジタのバンドをつけていました。
そこまでアイゼンのバンドをとっかえひっかえしているのは私くらいかもしれませんね。
でも、アイゼンの着脱なんて、少しでも少しでもやりやすい方がいいですから。

ここからは、アイゼンバンドの処理方法についてのお話です。
というのも、多くの登山者の方が、アイゼンバンドの処理に無駄な時間を費やしているような気がするからです。
私が考案したアイゼンバンドの処理方法を以下に紹介いたします。

①一つはバンドを通したところと同じところにバンドを折り返す方法です。
冬山に向けての準備~アイゼンあれこれ_d0138986_19121836.jpg


②二つ目は、ただバンドを折り返し、バックル(リング)の2つの穴に通す方法です。
冬山に向けての準備~アイゼンあれこれ_d0138986_19142579.jpg


①の方が折り返した状態でしめるので、少しだけ慣れがいるかもしれません。
それと、ペツル社のバンドはしめるのに少し力がいるので、どちらかと言えば②の方法の方がやりやすいような気がします。
BD社やグリベル社のアイゼンバンドは①の方法を推奨いたします。

冬山に向けての準備~アイゼンあれこれ_d0138986_1919263.jpg

ただですねえ……。せっかく二つのバンド処理方法を紹介したのですが、いろいろやった結果、一番いいのは上の写真のように、何もしないことかな、という結論に最近は達しつつあります(笑)。
ただし、そのためには言うまでもなく、バンドが適度な長さであることが前提です。

※)この冬、いろいろ試した結果、ペツルのバンドも②の方法より①の方法がやりやすいし、外す時楽なので、すぐれているという結論に達しました。よって、アイゼンバンドの処理は、何もしないか、①の方法で折り返すのがよい、というのが現段階の結論です。(2010年2月に追記す)


アイゼンバンドは買ったままの状態だと明らかに長すぎるので、少し切って短くするのは必須だと思いますが、恐いのは切り過ぎなんですよね。
家で作業するときは素手でやっているので、ついつい短く切り過ぎてしまい、いざ山で手袋をしてつけようとすると、「短すぎて、しめられない!!」ということになったりします。
私も若い頃苦い経験があるわけです。

ということで、私がその悩みを解決いたしましょう。
アイゼンバンドは、靴につけてバンドをしっかりしめた状態で、バックルから20㎝のところで切ってください。
20㎝だとバンドの末端処理をしないためには、少し長いと思いますので、あとは山で実際に使用してから微調整してください。
とにかく最初はバンドをしめた状態で20㎝余らせて切る。
これが結論です。

冬山に向けての準備~アイゼンあれこれ_d0138986_19382666.jpg

最後にもう一つだけ。
アイゼンのうしろについている微調整用のねじは、どっちに回すとゆるむのかが、山で瞬時に判断するのがほとんど不可能です。なので、私は以前から必ず、油性マジックで写真のように矢印と「ユ」という文字をどこかに書くようにしています。
これは絶対しておいた方が便利と思うのですが、やっている人めったにいませんねえ……。

あと、アイゼンやロングスパッツには、「右」と「左」もマジックで書いておきましょう。
そんなところでしょうか。

さあ、気を引き締めて雪山に向かおう。

アイゼンバンドの処理法については、最近書いたこちらもぜひご参照ください。

⭐️山岳ガイド松原尚之のホームページはこちらです。ぜひご覧ください。

by uobmm | 2010-12-17 19:07 | 装備・食糧などの話 | Trackback


<< 八ヶ岳      冬枯れの山 >>