2008年1月24日(木)
発端丈山(ほったんじょうやま)という風変わりな名前の、なおかつ有名でもない伊豆の低山は、本州にあまたある富士の展望峰の中でも、あるいはもっともすぐれた頂の一つかもしれない。
クライマーにはお馴染みの伊豆・城山(じょうやま)から発端丈山へと歩き、内浦湾へと下る小さな縦走路は、近年とみに人気の高まってきた沼津アルプスに勝るとも劣らない、すてきな冬の散歩道だ。
東京に初雪が降った翌日の今日、青空は戻ったが気圧配置は強い冬型となり、この伊豆の山でもゴオゴオと音を立てて北風が吹き荒れている。しかし、風が当らない場所ではその日差しは春のように暖かだった。
こじんまりとした城山の山頂から素晴らしい展望を楽しみ、杉林の中の緩やかな道を発端丈山へと辿る。
うれしくなるような明るい日差しを浴びて、発端丈山への最後の坂を登りつめると、そこにはこれまでに見たどんな富士よりも素晴らしいと思えるほどの絶景が広がっていた。
雪をいただいた真白き富士の前に広がる青い海。美しい海岸線。ほとんど完璧な景観と言っても過言ではないだろう。
知られざる富士の最高の展望台。それがこの発端丈山だ。
富士山が白く輝く季節、好天を狙ってぜひ登ってほしい文句なしの名山である。
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