2008年6月19~25日
アジアの名峰キナバルは、赤道直下に浮かぶ世界で3番目に大きな島・ボルネオ島にある。
色とりどりの魚が群泳ぐ美しい熱帯の海から陸地を眺めれば、標高4,095mの大きな山影が異様な迫力で浮かんでいる。
かつて海路からこの島を訪れた人々は――むろんその中には太平洋戦争時の日本人も含まれる――、まるで物語に出てくる魔物の棲み家のようなこの恐ろしげな山を見て、いったいどんな想いを抱いたことだろう……。
私は訪れるのは2回目だが、キナバルはまごうことなき秀峰で、まちがいなく一度は登る価値のある山である。
海上から眺めるその怪異な容貌は、頂上付近の独特の素晴らしい景観とともに、他の山で探すのは難しいこの山の強烈な個性ではなかろうか。