2009年2月22日
朝は思ったよりも風があったがしだいに弱まってきた。
この時期としては暖かく、絶好の登攀日和である。
八ヶ岳のバリエーションルートでどこか好きか? と聞かれ、阿弥陀岳北稜と答える登山者は少ないと思う。
阿弥陀の北稜は八ヶ岳のバリエーションルートとしては初級であり、岩稜を登ろうという登山者やガイドにとってはいささか易しすぎるからだ。
でも私はこのルートがとても好きだ。登るたびによいルートだなあと思う。
登っていて、背後に開ける広い空間がいい。
誰でも受け入れる懐の深さがいい。
しかし、何といってもよいのは、頂上に出た時の開放感だろう。
阿弥陀岳というのは八ヶ岳の主稜線から少し外れているが、それゆえに展望がピカイチだ。
そして頂上が広々としており、さながら回り舞台のようである。
山、難しきゆえに貴っとからず。
見回せば、山はわずか一日で雪の化粧はほとんど落とし、また黒々とした春の山に戻ってしまっていた。