山について語るときに僕の語ること(What I Talk About When I Talk About Mountain)

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カテゴリ:本の話( 19 )


2012年 01月 11日

ワンダーフォーゲルなど

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山と渓谷社から『ワンダーフォーゲル』2月号が送られてきました。
先月、丹沢の大山三峰で取材した「山のQ&A」コーナー、私はちらっと載っています。

ついでに、最近読んだ本もご紹介。
私は、実は日本の義務教育から英語はなくした方がよいと考えているものですが、私が漠然と考えていた日本の英語教育に対する思いを、ほとんど完璧な形で文章にしてくれたといってよいのが、この成毛眞さんの本です。
さすがマイクロソフト日本法人の社長をつとめただけのことはあります。
この方すばらしいです。
考えがまともなことに加えて、気持ちが熱いのがまたよい。

さて、話変わって、木内一裕という小説家をみなさんご存じでしょうか?
きっとまだ知らない人が多いでしょう。私も最近知ったばかりです。
ではしかし、「きうちかずひろ」とひらがなで書いたらどうでしょう?
「えっ!?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

そう、木内一裕は、あの往年の大ヒット漫画『ビーバップハイスクール』を書いていた漫画家「きうちかずひろ」その人なのです。
しかし、驚くのはまだ早い。
この人の小説が、なにしろ、めったっやたらと面白い!!んです。
私は最新作の『デッドボール』ほか、『水の中の犬』『OUT & OUT』『キッド』と立て続けに4冊読みましたが、どれもサイコーに面白いノンストップ・エンタテインメントでした。
あのビーバップの作者が、小説家としてのこの才能!
いや、ちょっと驚きでしたね。
小説家としての評価はあるいは分かれるかもしれませんが、少なくとも私は、これから木内一裕の新作が出たら、すぐに読むと思います。
気軽に読める面白い小説をお探しの方にはぜひお薦めいたします。

by uobmm | 2012-01-11 16:11 | 本の話 | Trackback
2011年 10月 05日

シニアパワー

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先月発売されたものですが、 『週間東洋経済』 という、ふだんはまったく縁のない雑誌を入手しました。
敬老の日にあわせての「シニア世代はこう攻める」という特集で、私のご一緒しているお客さまが登場されたからです。

登山やクライミングの世界にあふれるシニア世代のエネルギーは当り前のことで、私たち登山関係者にとっては何ら驚くことではありませんが、特集のページをめくると、ライブハウスやゲームセンターという若者の牙城のように思われる場所でさえ、今やシニア世代が重要な客層になっているといった話が載っていて、「へえ~」と思わせられました。
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私がこの特集の中で個人的に一番興味深かったのは、マラソンにおけるシニア世代についてです。
昨年度の日本人のサブスリー最高齢者は、64歳!
サブスリーというのはフルマラソンを3時間を切って走ることで、一般市民ランナーの憧れと言われる数字です。
クライミングで言ったら、そうですね。5.13くらいかもしれません。
私もフルマラソンを一度走ったことがあるのでサブスリーのすごさは知っているつもりですが、それが60歳代でも可能だということを知ることは、何と言うか、 “希望” に感じられます。

来年、あの三浦雄一郎さんは80歳!! で三度エベレストに挑戦するようです。
もはや50歳くらいでは、初老どころか中年とすら呼べない……?
年齢というものに対するイメージを、私たちは大幅に修正する必要があるのかもしれません。
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by uobmm | 2011-10-05 17:54 | 本の話 | Trackback
2011年 09月 03日

今月のお薦め本

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▼横浜のYさんに教えていただいた『脱出記』。
1950年代に出版された本ですが、なぜ今まで読んでいなかったんだろう? と思える、出色のノンフィクションでした。
第二次大戦中、ソビエトによりシベリアの強制収容所に収容されたポーランド人の男性ほか7名が、脱走し、歩いてインドを目指した記録です。
ほとんど着の身着のまま、満足な装備も食糧も持たず、1年近くかけて6,500㎞という途方もない距離を踏破します。
捕まる恐怖におびえながら酷寒のシベリアを歩き、モンゴルを横断し、やがては炎暑のゴビ砂漠を水筒すら持たずにさまよいます。
さらに、チベットを通過し、ヒマラヤを越え……。

こういうのを読むと、私たちのしている冒険・探検なんて、しょせんお遊びだよなあ……、という気がしてしまいます。
どんな厳しいところに行くにしろ、少なくとも準備をしていくわけですから。
偉大な人間の記録です。

▼『日本の「水」がなくなる日』
日本の貴重な水源の山が、近年外国資本に買い漁られているというショッキングなニュースを、少し前にテレビでご覧になった方もいらっしゃると思います。
この本は、その知られざる日本の重大な危機を取り上げるとともに、日本の林業や林業行政の問題についてもわかりやすく教えてくれます。
そして負の側面だけでなく、日本の林業の潜在能力や可能性を提示してくれているのがとてもよかった!
多くの人に読んでほしい好著です。

▼『愛人犬アリス』
団鬼六が、今年の5月にとうとう亡くなってしまいました。
団鬼六はSM小説の大家として有名ですが、実はSM以外の作品が最高に素晴らしいのです!
いやほんと、とにかく何読んでもめったやたらと面白い!!
タイトルを思いだせるものだけでも挙げますと、『蛇の道は』 『最後の愛人』 『美少年』 『牛丼屋にて』 『真剣士小池重明』 『外道の群れ』などなど……。
ここに挙げた本は、どれも間違いなく楽しめると思います。
そして絶筆となった『愛人犬アリス』もとても素晴らしかった!
愛犬との話では、かつてベストセラーになった中野孝次の『ハラスのいた日々』というのがありましたが、私は『愛人犬アリス』の方を推したいです。
『愛人犬アリス』は、団鬼六を初めて読むという方にもお薦めできますね。団鬼六入門書です。
忌野清志郎の最後の作品となった『Oh Radio』はとても美しい曲でしたが、団鬼六も最後にとてもきれいな作品を残してこの世界を去ってゆきました。

by uobmm | 2011-09-03 10:58 | 本の話 | Trackback
2011年 08月 07日

最近読んだ本

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▲佐野眞一は今の日本で一番力のあるノンフィクション作家ではないかと思っていますが、最近文庫になった『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』も、なかなかの力作です。
沖縄が好きな方はぜひ! いや、それ以外の方にも読んでほしい。
このあいだアメリカに長期ツアーに出たO君に、持たせてあげたかったなあ……。

▲小出裕章の『原発のウソ』については、また改めてじっくり紹介したいと思います。
みなさん読んでください!!

by uobmm | 2011-08-07 21:35 | 本の話 | Trackback
2011年 05月 29日

山岳気象大全

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最近になって、私の中で、山の気象について改めて勉強したいという気持ちがふくらんでいます。
そんなとき、実に好タイミングにも、山岳気象の決定版ともいうべき本が新しく出版されました。
あるいは、こういう本が出る時期だからこそ、私が山の気象について今さらのように興味を持ったとも言えるのかもしれません。

著者は日本山岳会の山岳天気予報などでもお馴染みの猪熊隆之氏。
中央大学山岳部出身(この春から監督です)で、レベルの高い登山の経験も豊富な、いま一番注目されている山岳気象予報士です。

山岳気象の本など読むのは大学生の頃以来ですが、新たに教えられること大で、とても勉強になります。
山の気象について学びたい方や、自身の登山の安全性をより高めたいとお考えの方は、ぜひご入手ください。
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上の写真は、5月4日に剱岳の剱沢(平蔵谷出合)で目の当たりにした巨大デブリ(雪崩のあと)です。
これを見た時は唖然としました。
これだけ大きなデブリに遭遇することはめったにないし、まして5月連休の時期であればなおさらでしょう。
4月28か29日頃出たものではないか、という話でした。

私は4月29日~5月1日で剱岳の源次郎尾根登山の予定でしたが、5月3~5日に延期して実施しました。
4月29~30日は、雪崩の危険性が特別高いと考えたからです。

その判断を下せたのも、猪熊気象予報士が中心となって流している日本山岳会の雪山天気予報メール配信サービスの力が大きかったです。
一般の天気予報だと、4月29~30日は好天の予報だったのですが、「猪熊予報」によると、4月29日までけっこうな量の降雪が予想されていたため、29~30日は危ないと考えることができたのです。

今回特別に雪崩が危ないと考えたのは、直前まで大量の降雪が見込まれたことに加え、直近の天気が、雨が降ったり、異常に暖かい日があったり、その後寒くなったりと、寒暖の差が激しかったからでもあります。
雨や、大きな寒暖の変化というのは、表層雪崩の原因である弱層の形成につながりやすいからです。

「直近の雨や、激しい寒暖の変化」に「その後の大量の降雪」が加わった今年のGW前半は、めったにない雪崩の特異危険日と私には感じられました。
そんなGWを経験したことで、私の気象に対する関心がより高まったのだと思います。
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↑ 5月18日の長次郎谷最上部。もう雪はかなり安定していました。

by uobmm | 2011-05-29 20:27 | 本の話 | Trackback
2011年 05月 15日

原発を読む

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原発問題には人並みに関心を持っています。
広瀬隆(注)の本はむかし何冊か読んだことがありますが、改めて原発について書かれたものを少し読んでみました。

『隠される原子力 核の真実 ―原子力の専門家が原発に反対するわけ』。
この本は、アマゾンの口コミに書かれたコメントがよかったので取り寄せたのですが、とてもよい内容でした。
一言で言って、わかりやすいです。
原子力の専門家が書いているので説得力があるうえに、専門的な内容を素人にもひじょうにわかりやすく記してくれています。
原発関係の本は無数に出ており、私はそのうちのごく一部に触れただけにすぎないのですが、この本は入門書として間違いなくお薦めできます。
原発関連の本、まず最初に読むならこれかな! と言えるような本だと思います。

ぜひ多くの方に読んでほしいです!!!
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ジャーナリスト鎌田慧の『原発列島を行く』は、原発が立地された地域とその住民にどのような影響を与えたか、という視点で記されたルポルタージュ。これもよい本だと思います。

これまで縁のなかった『世界』(岩波書店)という雑誌もはじめて買いました。
特に、孫正義さんの書かれていることが読みたかったのです。
ノンフィクション作家の佐野眞一が孫正義にしたインタビューも「週間ポスト」で読みましたが、いま私は孫正義という人物に、強い敬意を抱いています。

『世界』に掲載されている孫正義の「東日本にソーラーベルト地帯を」の中に、
「私も言うだけでなく行動を起こさなければならないと思い、一国民として責任の一端を担うために、『自然エネルギー財団』を設立し、個人の立場で10億円を拠出することにしました」
という文章があるのですが、孫正義が簡単に言っているその一言に私は感心しました。
「言うだけでなく行動をおこさなければならない」という言葉にです。
ふつうは「言うだけでも」立派なことではないだろうか?
ふつうの人は思うだけで、なかなか言わないのではないだろうか……?
それを、「言うだけでなく行動を起こさなければとならないと思い――」と、さらっと言ってのけるあたりに、この人の器の大きさを見たような思いがしたのです。

原発については、引き続き関心を持ち続けていきたいと思います。


注)広瀬隆は、反原発の立場で多数の著作あり。代表作に『危険な話』、『東京に原発を』など。

by uobmm | 2011-05-15 13:04 | 本の話 | Trackback
2011年 04月 06日

ヒマラヤのドン・キホーテ

最近ときどき見るブログの一つに、宮原 巍(たかし)さんのブログがある。

宮原さんは日本大学山岳部のOBで、日本のトレッキングツアー会社のさきがけとなったヒマラヤ観光開発株式会社の社長である。
また、ネパールのエベレストが見える丘に「ホテル・エベレストビュー」を建てた人としても知られている。
私はフリーランスながら、海外ツアーの仕事はヒマラヤ観光開発(株)でさせてもらっていたので、そんな縁もあって宮原さんとも知遇を得ることができた。

宮原さんは御年76歳になられるはずだが、数年前には、なんとネパール国籍を取得し(すなわち日本人からネパール人になった)、「ネパール国土開発党」という政党をつくり、2008年にネパールの国政選挙に打って出た。
宮原さんは、若い頃から一貫して夢を食べながら生きてきた人だが、この年齢になってもまったく衰えを知らぬ行動力と、夢を追う情熱は、真に敬服に値すると思う。
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彼のネパール政治への挑戦は、去年出版された『ヒマラヤのドン・キホーテ』に詳しいが、初めに読むなら、宮原さん自身が若い頃に書かれた『ヒマラヤの灯』がよいかもしれない。

ネパールに行かれたことのある方、ネパールに興味のある方には宮原さんのブログもとてもお薦めです。
http://miyaharablog.blog2.fc2.com/

by uobmm | 2011-04-06 15:30 | 本の話 | Trackback
2011年 03月 30日

少し勉強

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話題になっている本でも、さして大きな出版社から出た本でもないですが、とてもよかったです。
わかりやすくて勉強になりました。
政治を論じた本は、その本に書かれた主張だけを鵜のみにするのはよくないと思いますが、最近よく耳にする、「地域主権」、「行財政改革」、「議員定数削減」などのキーワードが、いかに今の日本において重要な意味を持つものなのかよくわかりました。
政治や日本経済に興味のある方にはお薦めです!

by uobmm | 2011-03-30 13:42 | 本の話 | Trackback
2011年 03月 25日

ある友人の物語

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アメリカから一冊の本が届きました。
『Finding MARS(火星を探して)』。

本を送ってくれたのはアラスカ大学フェアバンクス校で教授をしている吉川謙二。
一緒に南極やグリーンランドを歩いた友人です。
私の休眠中のブログ「氷の中の休日」をご覧いただいていた方は、彼の名前を覚えていらっしゃることと思います。

アメリカ人の科学専門ライターのネッド・ロゼルが書いたこの本は、その吉川謙二の半生記をつづったいわば伝記です。
アメリカ人によって伝記を書かれた日本人というのは、おそらくかなり稀なのではないでしょうか。
2年ほど前に取材で日本を訪れたネッドに、私も東京で会っています。

実を言えば私も、ネッドよりもだいぶ前に、吉川のことを本にしようと思い、関係者に取材をし、まとまった原稿を書いたことがあります。
吉川はそれくらい、ユニークで、スーパーな人間だからです。
私がその原稿につけていたタイトルは(あくまで仮題ですが)、「火星に恋した少年」と言います。(ちょっと恥ずかしいですね)。
『Finding MARS』はよいタイトルだと思いました。
なぜ、火星なのかは、ぜひ本をお読みください。
英語の本ですが、私もがんばって読もうと思います。

by uobmm | 2011-03-25 19:19 | 本の話 | Trackback
2011年 03月 23日

『空白の五マイル』

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「この人は抜けた、と言える力」(崔洋一)
「山岳ノンフィクションとしては、間違いなく一級品の折り紙」(佐野眞一)
当代一流の書き手からの最高ともいえる賛辞が本の帯を飾っていますが、それにまさしくうなずける内容でした。
冒険ノンフィクションのまぎれもない傑作だと思います。

私は1回ふつうに読み、傍線を引いたり、書き込みをしたりしながら、もう一度精読しました。
(社)日本山岳会の年報 『山岳』 に書評を頼まれたためです。
この素晴らしい本に恥じぬよう、集中して取り組みました。
とても勉強になったし、よい時間を過ごさせてもらいました。
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書評は今年の終りに発行される『山岳』に掲載されますが、このブログにもいずれアップしたいと思います。
まずは『空白の五マイル』をお読みください。

by uobmm | 2011-03-23 11:47 | 本の話 | Trackback