山について語るときに僕の語ること(What I Talk About When I Talk About Mountain)

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2008年 03月 17日

焼岳

2008年3月8日(土)
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5~6年前になるだろうか。5月下旬に一人で中ノ湯から焼岳を往復したことがある。焼岳には4~5回登っているが、午後も遅い時間に登りはじめ、夕暮れ間近に下りてきたあの時の山行で、焼岳が穂高連峰のすばらしい展望を有する、とてもよい山であることを私は知ったのだ。
4年前の3月にもお客さんとテント泊まりで山頂を目指したが、あいにく2日間とも天候が悪く途中下山となってしまった。その時の印象が残っていたせいもあり、それ以来積雪期の焼岳に何となく足が向かなかったのだが、久しぶりに訪れて、私は冬の焼岳の素晴らしさをようやく知ることができた。
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中ノ湯からしばしの急登をこなせば、あとは美しい樹林の尾根をたどるようになる。そして釜トンネルからの道が合流する手前で言葉にするのも難しいくらいの、最高の展望が開ける。
正面には焼岳の端正な双耳峰。そして前穂、奥穂、霞沢岳……。りんどう平と呼ばれるこの別天地の景観と展望の素晴らしさはあらゆる人を魅了するにちがいない。一度はテントを張ってみたい、本当に素晴らしい場所である。
そこから頂上へと続く道は一転アルペンチックな景観となり、まるでヒマラヤを登っているような気分に浸ることができる。さすがは冬の北アルプス。
そして私たちは、焼岳南峰の頂きに辿り着く。夏には登ることのできない、ここが焼岳のほんとうの最高点だ。
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さあ、中ノ湯温泉が待っている。
北アルプスの最高の景観をほしいままにしたあとに、穂高連峰の展望が美しい老舗温泉旅館に泊まる愉楽については、もはや語る必要もないだろう。
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# by uobmm | 2008-03-17 22:37 | 北ア(積雪期) | Trackback
2008年 03月 17日

丹沢縦走 ②

2008年3月1日(土)~3日(月)
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檜洞丸から蛭が岳、丹沢山へと続く道を歩いてみて、ブナやツツジの多さ、その樹相の素晴らしさが丹沢の魅力だと改めて感じる。美しい森には深山の雰囲気が漂うが、それでいて山に明るさがある。
2日目、3日目は雪にこそ降られなかったが、予想より天気がよくなかった。それでも私はこの3日間の山行で、丹沢という山塊にいっそうの愛着を感じていた。

2日目に泊った丹沢山頂のみやま山荘は新しく、立派な山小屋だった。前日に泊った青ヶ岳山荘もアットホームでよい山小屋だったし、何度か泊っている塔ノ岳の尊仏山荘も雰囲気のよい山小屋だが、立て替えられてから4年ほどしかたっていないみやま山荘は、小屋のきれいさ、快適さでは全国の山小屋の中でもトップクラスだろう。貸し切りで泊ることのできた私たちは、存分にくつろぐことができた。

「丹沢は冬だよ」
というのは、最終日に寄った尊仏山荘のご主人の言葉だが、ずいぶんと久しく訪れていなかった冬の丹沢に、私はきっとこれから多く通うことになるだろう、と思う。
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# by uobmm | 2008-03-17 00:13 | 雪山(その他の山域) | Trackback
2008年 03月 14日

丹沢縦走

2008年3月1日(土)
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丹沢主脈を2泊3日で縦走した。
檜洞丸から蛭が岳、丹沢山、そして塔ノ岳へと至るこの尾根筋は、丹沢山塊のまさにハイライトであり、丹沢の魅力を味わい尽くすには最適なコースと言えるだろう。
塔ノ岳から檜洞丸へと1泊2日で縦走する人が多いようだが、雪の時期でもあり、私たちは3日間とゆとりのある計画を組んだ。

意外と知られていないが、丹沢の主たる山小屋はどこも通年営業しており、積雪期も快適な山小屋泊の登山ができる。奥秩父だと通年でやっているのは雲取山荘と三条ノ湯くらいで、甲武信小屋も金峰山もみな冬場は閉じてしまうが、そのあたりがちがうところだ。
丹沢だと、塔ノ岳の尊仏山荘をはじめ、鍋割山荘、みやま山荘(丹沢山)、蛭ヶ岳山荘、青ヶ岳山荘(檜洞丸)と、これらの山小屋がすべて通年で営業しているのである。
(※青ヶ岳山荘は1年を通じて週末のみの営業)
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西丹沢からツツジ新道を登り、今日の目的地である檜洞丸へと到着する。
白い雪と青い空、そしてブナ林のコントラストがとても美しい。
そして秀麗な富士を仰ぐ。(私は昨日あの山にいたのだ!)
檜洞丸はまた、富士山の最高の展望台でもある。青ヶ岳山荘ですでに乾杯もすませていたが、美しい夕暮れに誘われて、私たちは再びその山頂へと登っていった。
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# by uobmm | 2008-03-14 15:08 | 雪山(その他の山域) | Trackback
2008年 03月 10日

富士山 ③

2008年2月29日(金)
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クラストした斜面を二人でロープを結んで登っていった。
移動性高気圧が張り出し、下界は春の陽気とのことだが、上に行くと予想よりも風があった。
5合目付近から上では、断続的に襲ってくるつむじ風のような突風に、しゃがみ込んで風をやり過ごすこともしばしばだった。
8合目を過ぎると少し弱まった風も、お鉢に出たらまたかなりの強さで吹き荒れていた。
富士山に登ったとき、私はたいてい最高点である剣ヶ峰まで行くのだが、そうしようという気持ちを萎えさせるのに十分な強さの風が吹いていた。
これでも今日は、この時期としては間違いなく気温も高めだし、風も弱い方なのだろう。
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時おり背中を押すように吹きつける強い風に緊張しながら、慎重に下りはじめる。
幸い気温が上がって雪がやわらかくなっており、緊張を要するのは最初のうちだけだった。
周囲に広がる大きな大きな風景は富士山ならではのものであり、晴れた日の御殿場口を下るとき、いつもその独自の素晴らしい景観に感興がわき起こる。

決して楽ではなかったけれど、充実したよい登山だった。
こんど石川君と山に登るのはいつのことになるだろうか?
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# by uobmm | 2008-03-10 12:53 | 雪山(その他の山域) | Trackback
2008年 03月 07日

富士山 ②

2008年2月28日(金)
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標高2,100m付近にある建物前にテントを張った。
今晩富士山に泊っている人間は、おそらく私たち2人だけだろう。

# by uobmm | 2008-03-07 10:55 | 雪山(その他の山域) | Trackback
2008年 03月 05日

富士山 ①

2008年2月28日(木)
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富士山には間違いなく50回以上登っているが、1月から3月までの時期に登ったことがあっただろうかと思い返す。
マカルーという8,000m峰に行く前に、登山隊のメンバーたちと12月末に登ったことは覚えているが、1~3月に登ったことはあるいはこれまでなかったかもしれない。
積雪期の富士山にも何度も登っているが、それは11月下旬という初冬の時期であったり、あるいは4月下旬や5月上旬といった残雪の時期ばかりである。
それはとりもなおさずその時期の富士山が、それだけ厳しく危険な山であることを意味している。
特にその風が恐ろしい。冬の富士山では人間が吹き飛ばされるような風が吹くことは決して珍しいことではない。
強い冬型が決まった日の富士山には、だからどんなに卓越した登山家でも、どれほど熟練のガイドを雇おうとも、決して登ることはできないし、近づくべきですらないのである。

d0138986_22244894.jpgしかし今日の富士山はほとんど無風快晴だった。何日も前から予想天気図を繰り返し見て確認してきた。これほど絶好の条件に2日間恵まれる確率は、今年の1~2月にかぎって言えば、10%もなかっただろう。

今回登る御殿場口から、私は昨年11月下旬にも法大山岳部の合宿で登っている。
その時は登山口となる2合目(約1,400m)付近には雪のかけらもなく、8合目(約3,000m)近くまで上がってやっと雪の上を歩けるような状態だった。
5.5合という場所にテントを張っていた山岳部の学生たちは、わざわざ雪をザックに入れて担ぎ降ろし、それで水をつくっていたのである。

今では2合目どころか、その下の林道までしっかりと雪が積もっている。
別世界だった。こんなに一面の雪におおわれた富士山を見るのは初めてのような気がした。2合目から上にはトレースすら皆無である。

今の時期、御殿場口は2合目の登山口まで車で入ることができず、そこから2キロほど下のゲートから歩き出さねばならない。
鍵のかかったゲートの中は、さながら閉ざされた門の内側に広がる秘密の花園のように思われた。
純白の雪の斜面に対峙して、私は富士山の知られざる顔を見たような気がした。

# by uobmm | 2008-03-05 22:29 | 雪山(その他の山域) | Trackback
2008年 03月 03日

富士山(序)

2008年2月28日(木)
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その富士山のガイド依頼は、日程的にどう考えても断る状況だった。私は私事で立て込んでいたし、週末には3日間の仕事も入っている。残念ながら無理だと一度は断り、友人のガイドに当ってみたのである。
しかし、友人のガイドにも断られたとき、「日程的には厳しいけれど、自分がやらせてもらおうか」と、わりにあっさりと決断できたのは、ガイドを依頼してきたのが石川直樹君だったからである。

石川直樹君は、世界中を巡り、その経験を文章や写真で発表し続けている、旅する表現者である。北極から南極まで人力で踏破する「Pole to Pole」や、世界7大陸最高峰登頂などの経験も持つ。
7大陸最高峰(すなわちエベレストも)に登っている人が、またなんでガイドをたのんで富士山へ? という疑問はむろん私の頭の中にも浮かんだのだが、雑誌の取材のためで、また雪山に行くのは久しぶりだから、ということであった。

そして私がこの富士山の仕事を受けたのは、私自身が石川君と以前からの知りあいであったからでもある。彼がまだ早稲田大学の1年生かそこらの頃に、友人を介して一緒に食事をしたkことがあった。数えてみるともう10年も前のことだ。
そうなのだ。私は久しぶりに石川君といろいろな話をしてみたかったのである。
彼がいまどんなことをしていて、どんなことを考えているのか。私がいまどんなことをしていて、どんなことを考えているのか……。一緒に山に登り、テントで過ごしながら、彼と話がしてみたかったのである。
そうして私たちはめったに人も訪れぬ、2月の末の富士山に向かうことになった。
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# by uobmm | 2008-03-03 22:23 | 雪山(その他の山域) | Trackback
2008年 02月 21日

丹沢・塔ノ岳②

2008年2月14日(木)
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塔ノ岳山頂で朝を迎える。山頂で夜明けを迎え、朝の光に包まれる喜び。
天気は今日も、言うまでもなく快晴である。ぴーんと張りつめた寒さ。それさえもうれしい。

小屋でコーヒーを飲み、ゆっくりと準備をしたのち、塔ノ岳山頂をあとにする。今日は表尾根を下る。
表尾根は大倉尾根よりも雪が多いように思われ、また白い雪の色が美しかった。
展望にすぐれ、どこまでも闊達な表尾根は素晴らしいコースである。それが雪のおかげでいっそう強調されている。
塔ノ岳を登るなら表尾根から登り、大倉尾根を下るのがよいと思っていたが、今回のように逆コースをとるのも悪くないと知った。そう、まったくもって悪くない……。
歩きながらふと、昨年のゴールデンウイークに下った五龍岳の遠見尾根を思い出す。北アルプスの最高の展望をほしいままにする5月の遠見尾根に、標高1,000mの丹沢の尾根をなぞらえてはお叱りを受けるかもしれないが、この日の表尾根はそれくらい素晴らしかったのである。

若い頃幾度となく通い、今でも年に2度や3度は必ず訪れる丹沢。
それでも私は丹沢の魅力を、まだ何ほどにも知ってはいなかったのかもしれない。
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# by uobmm | 2008-02-21 19:37 | 雪山(その他の山域) | Trackback