山について語るときに僕の語ること(What I Talk About When I Talk About Mountain)

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2008年 03月 14日

丹沢縦走

2008年3月1日(土)
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丹沢主脈を2泊3日で縦走した。
檜洞丸から蛭が岳、丹沢山、そして塔ノ岳へと至るこの尾根筋は、丹沢山塊のまさにハイライトであり、丹沢の魅力を味わい尽くすには最適なコースと言えるだろう。
塔ノ岳から檜洞丸へと1泊2日で縦走する人が多いようだが、雪の時期でもあり、私たちは3日間とゆとりのある計画を組んだ。

意外と知られていないが、丹沢の主たる山小屋はどこも通年営業しており、積雪期も快適な山小屋泊の登山ができる。奥秩父だと通年でやっているのは雲取山荘と三条ノ湯くらいで、甲武信小屋も金峰山もみな冬場は閉じてしまうが、そのあたりがちがうところだ。
丹沢だと、塔ノ岳の尊仏山荘をはじめ、鍋割山荘、みやま山荘(丹沢山)、蛭ヶ岳山荘、青ヶ岳山荘(檜洞丸)と、これらの山小屋がすべて通年で営業しているのである。
(※青ヶ岳山荘は1年を通じて週末のみの営業)
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西丹沢からツツジ新道を登り、今日の目的地である檜洞丸へと到着する。
白い雪と青い空、そしてブナ林のコントラストがとても美しい。
そして秀麗な富士を仰ぐ。(私は昨日あの山にいたのだ!)
檜洞丸はまた、富士山の最高の展望台でもある。青ヶ岳山荘ですでに乾杯もすませていたが、美しい夕暮れに誘われて、私たちは再びその山頂へと登っていった。
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# by uobmm | 2008-03-14 15:08 | 雪山(その他の山域) | Trackback
2008年 03月 10日

富士山 ③

2008年2月29日(金)
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クラストした斜面を二人でロープを結んで登っていった。
移動性高気圧が張り出し、下界は春の陽気とのことだが、上に行くと予想よりも風があった。
5合目付近から上では、断続的に襲ってくるつむじ風のような突風に、しゃがみ込んで風をやり過ごすこともしばしばだった。
8合目を過ぎると少し弱まった風も、お鉢に出たらまたかなりの強さで吹き荒れていた。
富士山に登ったとき、私はたいてい最高点である剣ヶ峰まで行くのだが、そうしようという気持ちを萎えさせるのに十分な強さの風が吹いていた。
これでも今日は、この時期としては間違いなく気温も高めだし、風も弱い方なのだろう。
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時おり背中を押すように吹きつける強い風に緊張しながら、慎重に下りはじめる。
幸い気温が上がって雪がやわらかくなっており、緊張を要するのは最初のうちだけだった。
周囲に広がる大きな大きな風景は富士山ならではのものであり、晴れた日の御殿場口を下るとき、いつもその独自の素晴らしい景観に感興がわき起こる。

決して楽ではなかったけれど、充実したよい登山だった。
こんど石川君と山に登るのはいつのことになるだろうか?
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# by uobmm | 2008-03-10 12:53 | 雪山(その他の山域) | Trackback
2008年 03月 07日

富士山 ②

2008年2月28日(金)
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標高2,100m付近にある建物前にテントを張った。
今晩富士山に泊っている人間は、おそらく私たち2人だけだろう。

# by uobmm | 2008-03-07 10:55 | 雪山(その他の山域) | Trackback
2008年 03月 05日

富士山 ①

2008年2月28日(木)
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富士山には間違いなく50回以上登っているが、1月から3月までの時期に登ったことがあっただろうかと思い返す。
マカルーという8,000m峰に行く前に、登山隊のメンバーたちと12月末に登ったことは覚えているが、1~3月に登ったことはあるいはこれまでなかったかもしれない。
積雪期の富士山にも何度も登っているが、それは11月下旬という初冬の時期であったり、あるいは4月下旬や5月上旬といった残雪の時期ばかりである。
それはとりもなおさずその時期の富士山が、それだけ厳しく危険な山であることを意味している。
特にその風が恐ろしい。冬の富士山では人間が吹き飛ばされるような風が吹くことは決して珍しいことではない。
強い冬型が決まった日の富士山には、だからどんなに卓越した登山家でも、どれほど熟練のガイドを雇おうとも、決して登ることはできないし、近づくべきですらないのである。

d0138986_22244894.jpgしかし今日の富士山はほとんど無風快晴だった。何日も前から予想天気図を繰り返し見て確認してきた。これほど絶好の条件に2日間恵まれる確率は、今年の1~2月にかぎって言えば、10%もなかっただろう。

今回登る御殿場口から、私は昨年11月下旬にも法大山岳部の合宿で登っている。
その時は登山口となる2合目(約1,400m)付近には雪のかけらもなく、8合目(約3,000m)近くまで上がってやっと雪の上を歩けるような状態だった。
5.5合という場所にテントを張っていた山岳部の学生たちは、わざわざ雪をザックに入れて担ぎ降ろし、それで水をつくっていたのである。

今では2合目どころか、その下の林道までしっかりと雪が積もっている。
別世界だった。こんなに一面の雪におおわれた富士山を見るのは初めてのような気がした。2合目から上にはトレースすら皆無である。

今の時期、御殿場口は2合目の登山口まで車で入ることができず、そこから2キロほど下のゲートから歩き出さねばならない。
鍵のかかったゲートの中は、さながら閉ざされた門の内側に広がる秘密の花園のように思われた。
純白の雪の斜面に対峙して、私は富士山の知られざる顔を見たような気がした。

# by uobmm | 2008-03-05 22:29 | 雪山(その他の山域) | Trackback
2008年 03月 03日

富士山(序)

2008年2月28日(木)
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その富士山のガイド依頼は、日程的にどう考えても断る状況だった。私は私事で立て込んでいたし、週末には3日間の仕事も入っている。残念ながら無理だと一度は断り、友人のガイドに当ってみたのである。
しかし、友人のガイドにも断られたとき、「日程的には厳しいけれど、自分がやらせてもらおうか」と、わりにあっさりと決断できたのは、ガイドを依頼してきたのが石川直樹君だったからである。

石川直樹君は、世界中を巡り、その経験を文章や写真で発表し続けている、旅する表現者である。北極から南極まで人力で踏破する「Pole to Pole」や、世界7大陸最高峰登頂などの経験も持つ。
7大陸最高峰(すなわちエベレストも)に登っている人が、またなんでガイドをたのんで富士山へ? という疑問はむろん私の頭の中にも浮かんだのだが、雑誌の取材のためで、また雪山に行くのは久しぶりだから、ということであった。

そして私がこの富士山の仕事を受けたのは、私自身が石川君と以前からの知りあいであったからでもある。彼がまだ早稲田大学の1年生かそこらの頃に、友人を介して一緒に食事をしたkことがあった。数えてみるともう10年も前のことだ。
そうなのだ。私は久しぶりに石川君といろいろな話をしてみたかったのである。
彼がいまどんなことをしていて、どんなことを考えているのか。私がいまどんなことをしていて、どんなことを考えているのか……。一緒に山に登り、テントで過ごしながら、彼と話がしてみたかったのである。
そうして私たちはめったに人も訪れぬ、2月の末の富士山に向かうことになった。
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# by uobmm | 2008-03-03 22:23 | 雪山(その他の山域) | Trackback
2008年 02月 21日

丹沢・塔ノ岳②

2008年2月14日(木)
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塔ノ岳山頂で朝を迎える。山頂で夜明けを迎え、朝の光に包まれる喜び。
天気は今日も、言うまでもなく快晴である。ぴーんと張りつめた寒さ。それさえもうれしい。

小屋でコーヒーを飲み、ゆっくりと準備をしたのち、塔ノ岳山頂をあとにする。今日は表尾根を下る。
表尾根は大倉尾根よりも雪が多いように思われ、また白い雪の色が美しかった。
展望にすぐれ、どこまでも闊達な表尾根は素晴らしいコースである。それが雪のおかげでいっそう強調されている。
塔ノ岳を登るなら表尾根から登り、大倉尾根を下るのがよいと思っていたが、今回のように逆コースをとるのも悪くないと知った。そう、まったくもって悪くない……。
歩きながらふと、昨年のゴールデンウイークに下った五龍岳の遠見尾根を思い出す。北アルプスの最高の展望をほしいままにする5月の遠見尾根に、標高1,000mの丹沢の尾根をなぞらえてはお叱りを受けるかもしれないが、この日の表尾根はそれくらい素晴らしかったのである。

若い頃幾度となく通い、今でも年に2度や3度は必ず訪れる丹沢。
それでも私は丹沢の魅力を、まだ何ほどにも知ってはいなかったのかもしれない。
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# by uobmm | 2008-02-21 19:37 | 雪山(その他の山域) | Trackback
2008年 02月 15日

丹沢・塔ノ岳①

2008年2月13日(水)
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大倉の先から登山道を歩きはじめるとき、ふっと懐かしい気持ちにとらわれた。
小田急沿線に実家のある私にとって、丹沢は学生時代のホームグラウンドのような山。
もう四半世紀も前から、数え切れないくらい丹沢を訪れ、数え切れないくらい大倉尾根を登り下りした。そんな私なのに、今日の大倉尾根から眺める景色は、これまでで別格に美しく感じられる。
たくさんの雪と、完璧なまでに青く澄み渡った空のおかげであり、またそれだけが理由でもきっとないのだろう。
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本当は東北の蔵王に行く予定であった。天気がとびきり強い冬型となり、直前になって行き先を丹沢に変更したのである。正解であった。
今日のように強い冬型の気圧配置の日は、何も高い山に行って烈風に吹かれなくとも、近郊の1,000m台の山で十分に、いや十分すぎるほどに素晴らしい山を味わえることを知った。
……そこに登山ガイドさんが必要とされるかどうかは別問題として(笑)。

美しき一日のフィナーレとなる、塔ノ岳山頂に到着する。
美しい山々、美しい相模湾、そして富士……。
塔ノ岳からの眺めはこれほど素晴らしかったのだろうか……。
私はこれまで丹沢で、いったい何を見ていたのだろう……。
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今日の泊まりは塔ノ岳山頂に立つ尊仏山荘である。
山によっては山頂に小屋があることに違和感を覚えることもなくはないけれど、この広い山頂に立つ尊仏山荘は、まさにそこに在るべくして在る山小屋というべきだろう。
それにしても、この立地条件はすばらしすぎる。これほど見事な展望を小屋の中から味わえる小屋も、実はそれほどないのかもしれない。
今日の宿泊者は私たち含め8人。平和でくつろげる、よい山小屋である。

富士の山頂をかすめるように太陽が沈んでゆく。
(実は次の土曜日がダイヤモンド富士が見られる日なのであった!)。
ますます美しい色彩に包まれる空と山を撮ろうと、泊まり客たちは小屋と外を出たり入ったりしている。もちろん私もその一人だ。
外はしんしんと冷えてきた。
富士がシルエットになって美しくかげり、街の灯が緑色に輝きはじめる。
幸福な一日が暮れようとしていた。
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# by uobmm | 2008-02-15 01:08 | 雪山(その他の山域) | Trackback
2008年 02月 13日

金峰山

2008年2月11日(月・祝)
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私たちが金峰山を目指した連休の最終日、空は美しく晴れ渡り、穏やかな絶好の登山日和となった。
昨日私たちが瑞牆山に登る際、さらさらの新雪をかきわけつけた富士見平へのトレースも、たくさんの登山者に踏まれて、しっかりとした道に変わっている。

富士見平から金峰山に至る道を冬に歩くのは初めてだった。
廻り目平からのルートよりも長く、冬はあまり歩かれていないと思っていたのだが、どうやらそうでもないようだ。富士見平には5~6のテントが張られ、登山者も20名以上入っていた。
先行パーティーによってしっかりと踏み固められた道を、私たちはしんがりから快適に登らせてもらう。ツガやシラビソの針葉樹の森が美しかった。瑞牆山では感じなかったこの林の素晴らしさは金峰山の魅力であり、それはまた奥秩父を奥秩父たらしめている、この山脈の魅力でもある。

d0138986_1403512.jpgそして今日のコースの白眉は、森林限界を抜けてからの素晴らしい稜線漫歩だろう。右を見ても左を見ても、文句のつけようのない最高の展望が広がっている。
千代の吹き上げ付近の大岩ごろごろ地帯は、雪が乗ったらもっといやらしいのでは、と少し心配していたのだが、岩の間に雪がつまり、無雪期よりもかえって歩きやすいように感じられた。
金峰山の展望の素晴らしさはこのあいだも書いたけれど、今日のこのルートこそ、日本屈指の展望峰である金峰山の魅力を、いっそう強く感じられるコースであるのかもしれない。

静かな森の中を下っていく途中、生まれて初めてキツツキ(コゲラ?)の姿を見ることができた。
ドラミング(キツツキが木をたたく音)は山では時々耳にすることができるけれど、姿を目にすることはめったにできないのではなかろうか。
私たちがその木の真下を通ってもまったく意に介さず、無心に木をたたき続けるキツツキの姿を眺めながら、私はちょっとうれしかった。

# by uobmm | 2008-02-13 01:47 | 奥秩父 | Trackback