朝日連峰はじめ東北の山はそのほとんどが避難小屋を利用することになり、体力に自信のない登山者にはそれがネックになる。
けれど、朝日や飯豊を歩いてみてつくづく思うのは、その避難小屋泊まりこそ、朝日や飯豊など東北の山の一番の魅力ではないかということだ。
もちろん、その避難小屋がきれいで快適に泊まれ、感じのよい管理人さんがいるからこそ、であるのだろうが。
静かで簡素な小屋の中で、自分たちで食事をつくったり、ごろりと横になって本を読んだりしていると、平和な気持ちになって、「これが山だよなあ……」とひとりごちてみたりする。
そこには北アルプスなどで感じるのとはまた別種の山の楽しみがある。
そんな山の魅力を多くの人に知ってもらいたいと思いつつ、東北の山々がいつまでも静かなままであってほしいともまた思うのである。