
カトマンズから小型飛行機に乗って45分。
エベレスト街道起点の村・ルクラに到着する。
飛行場に下りると、谷の向こうに雪をいただいた峻嶮なピークがそびえている。
カトマンズにあった喧騒や絶え間ない車のクラクションの音はここにはない。
気温もぐっと下がり、空気が引き締まっている。

ルクラの標高は2,800m。
もしこの地域にエベレストがなかったら、そしてエベレスト街道のトレッキングがこれほど人気が出なかったなら、ルクラは100年前とさして変わらない、静かでさびしい寒村のままだったかもしれない。
そんなルクラはネパールでも一番の人気トレッキングコースの起点として、世界中からたくさんのトレッカーや登山者を集めている。
約45年前には飛行場ができ、その飛行場も10年ほど前にとうとう舗装された。
しかしルクラには今でも、どこか静かで、さびれたようなたたずまいが残る。
私はそんなルクラの村が嫌いではない。
ロッジで2時間ばかり昼食休憩をとったのち、私たちはいよいよトレッキングを開始する。
ルクラから眺めるコンデ・リ南峰(ヌプラ)は、24年前に初めて眺めた時と、まったく変わっていない。

↑ ルクラの飛行場で。1988年2月。山岳部の同期と。