山について語るときに僕の語ること(What I Talk About When I Talk About Mountain)

uobmm.exblog.jp
ブログトップ

カテゴリ:南ア(無雪期バリエーション)( 12 )


2018年 09月 20日

優雅な避難小屋生活

d0138986_10464853.jpg
金曜日でかつ雨なので、六合石室には当然ながら誰もいません。
荷物を広げ、まずは往復20分の水汲みに行ってきます。
そして今回は寒そうなので、石室の中にツェルトを張ることにしました。
小屋の中の梁を使い、うまく立てることができました。
2〜3人用のツェルトなので、内部はゆったりしています。
ツェルトの中は火を焚くとすぐに暖かくなるし、何よりガランとした避難小屋の中にそのまま泊まるよりもずっと落ち着きます。
d0138986_10463418.jpg
それではさっそくビールを開けます。
今回は缶ビールを持ってきました。
7月下旬に一人でここに泊まったときは、初めての日向八丁尾根ということで所要時間も読めず、そのためできるだけの軽量化を図ってきました。
泊りがけなのにコンロもコッヘルも持たず、シュラフではなくシュラフカバー、もちろんビールはなし。
だから朝晩の食事も水で戻したアルファ米の類だけの味気ないものでした。
あれはあれでよい山行だったのですが、次回また一人で避難小屋やテント泊まりの山に行く時には、より愉しい避難小屋(orテント)生活を送るために、以下の点を改善しようと考えました。

①食事はもっと充実させる(もちろんコンロ、コッヘル等は持参する)
②お酒は十分な量を持っていく
③缶ビールも持っていく
④座椅子になるマットを持っていく

今回は急ごしらえの山行ですので、④の座椅子になるマットは持ってきておりませんが、①〜③については前回の反省に基づき、改善してきたつもりです。
d0138986_10462980.jpg
缶ビールを飲みながら、まずはレモン&パセリソーセージを茹でます。
茹でているあいだ、プチトマトに塩をつけて食べると、これが絶品!
このトマトは自分で持ってきたのではなく、黒戸尾根でたまたま一緒になった日本山岳会のヤマシタマリコさんからいただいたものです。
塩をつけて食べると、ビールのつまみとしてもまったく悪くありません。
このトマトはこの日食べたものの中で一番感動がありました。。
私は縦長のトマトって、今まであまり買ったことがなかったですが、これからはわざわざ縦長のトマトを探して買ってしまうかもしれません。

野菜はほかにししとうを持ってきました。
北鎌尾根用には他にタマネギやベーコンブロックも用意していたのですが、一人なのでそれらは車に置いてきました。
さて、ししとうは炒めて食べるつもりでしたが、ソーセージを茹でていたので、めんどうだからししとうも茹でてしまいます。
茹でたししとうに塩をつけて食べると、うん、これも悪くありません。
いや、焼いたり炒めたりしたのよりむしろおいしいかも、と思いました。
ただ、不思議なのですが、茹でたししとうはなぜかどれも辛く感じられます。
ふつう、ししとうの辛いのって10本に1本とか、せいぜい7本に1本くらいの割合ですよね?
ところがこの晩食べたししとうは、全部が全部辛く感じられるのです。
いったい、ししとうは茹でると辛味が出るものなのでしょうか?
d0138986_10464446.jpg
トマトを食べ、ソーセージを食べ、ししとうを食べ、最後はパスタです。
この頃には缶ビールは飲み終え、ウイスキーに移行しています。
次回缶ビールは350mlではなく500ml缶にしようと、また改善点が見つかりました。
パスタ(スパゲッティ)は、最近気に入っているオニオンコンソメ・パスタです。
オニオンコンソメ・パスタとは、ゆでたパスタにクノールのオニオンコンソメスープを混ぜて味つけしただけのものですが、これがなかなか美味しくて、食べさせた人からも好評です。
アメリカでこれを食べた井上D助からは「作り方おしえて」と言われましたが、作り方などというほどのものはなく、ただオニオンコンソメスープを混ぜるだけ。
いつもは野菜やベーコンなどをオリーブオイルで炒めておいて、そこにゆでたパスタを入れて、オニオンコンソメスープを加えるのですが、今回は野菜やベーコンがありませんので、茹でたパスタにただオニオンコンソメスープを入れて混ぜます。
でもせっかくオリーブオイルがあるので、パスタにオリーブオイルを回しがけしてみました。
そんなシンプルなパスタですが、今日もおいしかったです。
オリーブオイルは直接かけるだけでも味を引き立たせると思いました。
d0138986_10465480.jpg
さてさて、トマトがうまいとか、ししとうが辛いとか、パスタの味つけがどうだとか、どうでもよいようなことを長々と書いてしまいましたが、一つ間違いなく言えるのは、私はこうして個人的に山に登るとき、避難小屋で過ごす一人の時間こそ、一番の山の楽しみにしているということです。

この日は『東京するめクラブ 地球のはぐれ方』(村上春樹、吉本由美、都築響一)を読み終えたので、山本周五郎の短編小説集『おたふく』を開きます。
なにしろ今はキンドル(電子書籍)という便利なモノがあり、スマホに好きなだけ本を入れてこられるのだからすごい時代になったものです。
しかも電子書籍は暗いテントの中でも、ヘッドランプや老眼鏡なしで本が読めるので、読書好きの山ヤにとっては、本当に神の道具と言っても過言ではありません。
さて、そろそろ酔っぱらっていますから、小説の1行目を読んだだけで、「う〜ん、いいなあ……」などと、感動したりします。

が、しかし。
いくらも読み進まないうちに……。
いつのまにか、沈……。
いったい何時ころだったか?
午後7時〜8時の間のどこかだったと思われます。

翌日は朝から激しく雨が降っていましたが、少し小降りになるのを待ってスタート。
日向八丁尾根を竹宇駒ヶ岳神社へと下山しました。
d0138986_10464085.jpg
















by uobmm | 2018-09-20 18:15 | 南ア(無雪期バリエーション) | Trackback
2018年 09月 09日

甲斐駒ヶ岳〜日向八丁尾根

d0138986_11044092.jpeg
8月25日〜26日の週末は、当初、上高地から奥又白経由で涸沢入り。2日目に北穂東稜を登ってから下山、という計画でした。
しかし残念ながら北アルプス方面の天気は悪いということで、中止または行き先変更ということで検討しました。
小川山でのクライミングなども考えましたが、小川山でも降られる可能性がありそうということで、結局中止に傾いたのですが、お一人のお客様からご要望をいただき、どこかに行こうということになりました。
それで考えたのが、7月下旬に個人的に歩いてきた甲斐駒、日向八丁尾根。
甲斐駒の天気は北アルプスほど悪くなさそうでしたし、それほど難しいコースではないので、少しくらいの悪天候なら歩けるのではと考えました。
ただ、難しくないと行っても日向八丁尾根は長丁場でタフなコースですから、誰でも彼でもお連れできるというわけではありません。
d0138986_11050532.jpeg
7月下旬に一人で歩いた際は、初日に日向八丁尾根を登って六合石室避難小屋に泊まり、2日目に甲斐駒山頂経由、黒戸尾根を下山しました。
初めて日向八丁尾根に行くのだから、やはり下るより登ってみたいと考えたからです。
けれども、今回は初日に黒戸尾根を登り七丈小屋泊。2日目に甲斐駒山頂経由、日向八丁尾根を下山という計画にしました。
避難小屋泊用の荷物を持っていかないでよいということもありますし、何より今回は2日目の方が天気がよさそうだったからです。

土曜日、湿度の高い1日でしたが、幸い降られずに七丈小屋まで上がることができました。
お客様は黒戸尾根が初めてということで、このちょっと長いけれどもとてもよい道である、甲斐駒の”表参道”を楽しんで登られていました。
d0138986_11052254.jpeg
日曜日は予想以上に素晴らしいお天気になりました。
前日とは打って変わって空気もさわやかです。
甲斐駒山頂から鋸岳方面への稜線に入れば、週末とはいえほとんど人には会いません。
静かな山を堪能することができます。
d0138986_11052867.jpg
八丁尾根に入ると、鋸岳や甲斐駒、仙丈など、いつも見てているのとはまた違った角度から眺めることができて新鮮な感じを受けます。
八丁尾根上にある烏帽子岳はとても好ましいピークです。もちろん私たちの貸切。
今回歩いてみて、このコースは日向八丁尾根を登りに使うより、下りに使う方が自然かなという気がしました。
七丈小屋に泊まれば荷物が軽くなるし、八丁尾根上の危険箇所も下りでなく登りになります。また核心部をのぞけば、日向八丁尾根は比較的なだらかで下りやすい尾根だからです。
ともあれ、下りに使おうが、登りに使おうが、このコースは長く、そしてなかなかよいコースです。
東京から比較的近くて、こんな静かな山歩きができるコースが、他にももっとあればいいのに、と思います。
d0138986_11053649.jpg







by uobmm | 2018-09-09 11:38 | 南ア(無雪期バリエーション) | Trackback
2018年 09月 07日

北岳バットレス・Dガリー奥壁

d0138986_16275033.jpg
ブログの更新が滞ってしまいましたが、元気にやっております。
だいぶ日にちが経ってしまいましたが、8月20日に登った北岳バットレス・Dガリー奥壁です。
前日の北岳バットレス・第4尾根に続いての登攀でした。
北岳バットレスは第4尾根に圧倒的に人気が集中していますが、そのすぐ左にはピラミッドフェースやDガリー奥壁、上部フランケといった良質のルートがあります。
今回登ったDガリー奥壁はハング越えからはじまり、綺麗なフェースに走ったクラック、スラブ、さらにはチムニーと、変化に富み、かつ手応えのある好ルートです。4尾根とちがい、静かな登攀が楽しめるのもよいですね。
5.10aくらいが問題なく登れるようになった方は、(そして4尾根を登ったことがある方は)、一度トライしてみるとよいと思います。
取付きへは、4尾根マッチ箱から懸垂で下りることもできるし、今回の私たちがしたように、下部岩壁のDガリー大滝から登り、そのまま易しい登攀を続けてDガリー奥壁取りつきに至ることもできます。
カムは小さいものからキャメロットの3〜4番まで、1セット以上はあった方がよいでしょう。
d0138986_16274300.jpg


by uobmm | 2018-09-07 09:00 | 南ア(無雪期バリエーション) | Trackback
2017年 10月 16日

甲斐駒ヶ岳〜鋸岳

d0138986_11140227.jpg
10月7日(土)〜8日(日)は南アルプスの甲斐駒〜鋸岳の縦走でした。
7日は朝のうち少し雨が残りましたが、天気は回復傾向にあります。
予定通り北沢峠から歩きはじめました。
d0138986_11132183.jpg
甲斐駒に近づく頃には青空が広がってきて、素晴らしい紅葉を眺めることができました。
この時期の甲斐駒も何度か来ていますが、「甲斐駒の紅葉って、こんなに美しかったっけ?」と、改めて感嘆するほどの見事さでした。
その前に歩いた北アの奥丸山では、「北アルプスの紅葉はそろそろ終盤だなあ……」と感じていたので、紅葉最盛期の甲斐駒の美しさはうれしい驚きでした。
d0138986_11145358.jpg
8日(日)は予報通り、絶好の登山日和となりました。
3連休だけあって、バリエーションルートである甲斐駒〜鋸のコースも登山者は多かったです。
宿泊場である六合石室の避難小屋は満員が予想されたので私たちはテント。
やはり正解でした。
d0138986_11151599.jpg
鋸岳のこのコースを歩くのは久しぶりでしたが、改めてよいコースだと感じました。
何より展望が最高です。
甲斐駒〜第二高点の間は、そこまで難しくはありませんが、第二高点から第一高点(鋸岳山頂)までの核心部は、なかなか侮れない箇所が続きます。
d0138986_11142485.jpg
ハイライトである鹿窓をくぐり、無事に第一高点へと登り着きました。
角兵衛沢のコルまで慎重に下ったら、あとは角兵衛沢の長いガレ場の下りが待っています。
今回2泊の準備をしてきましたが、お客様のがんばりで、比較的余裕で2日目に下山できました。
d0138986_11150222.jpg



by uobmm | 2017-10-16 11:33 | 南ア(無雪期バリエーション) | Trackback
2016年 09月 29日

ピラミッドフェース〜Dガリー奥壁

d0138986_12185877.jpg
シルバーウイーク後半は5日間、豊田の岩場や御在所など東海地方に遠征していたのですが、その話はまた後日にさせていただくとして、9月26〜28日は北岳バットレスに行ってきました。
前回の北岳バットレス同様、またまたピンポイントの好天狙いです。
今回カメラを御在所で使っていた方のザックに忘れてきてしまい(御在所から北岳と連チャンでした)、そして私のiPhoneはカメラが故障していて、でも自撮りだけはできるという不思議な状態のため、こんな写真になりました。
以下、掲載の写真はすべてiPhoneの自撮りモードでの撮影です。(すんません)
d0138986_12190972.jpg
今回は4尾根ではなく、ピラミッドフェース、Dガリー奥壁という、北岳バットレスでも難しめのルートを1日で2本継続して登りました。
両ルートとも荷物を背負っているとなかなかに手応えがあり、かつクラックが多く、ナチュプロ(カム類)を駆使するので面白いです。
どちらもいいルートですが、特にDガリー奥壁は私のお気に入りです。
北岳は紅葉が美しく(でも写真がな〜い!)、とてもよい季節でしたが、白根御池もバットレスもすいていて、とても快適な登攀となりました。
居心地のよい白根御池小屋にも感謝です。
2本つなげるので、2日目は肩の小屋泊まりの予定でしたが、時間も早かったので白根御池小屋まで下りてゆっくりしました。
これだけ雨の多い日々の中で、3日間一度も雨に遭うことなく登ってこられたのは幸運の一語です。
雨季(!?)のさなかに、よい登攀ができました。
早くモンスーン明けないかなあ……。
d0138986_12191334.jpg





by uobmm | 2016-09-29 12:34 | 南ア(無雪期バリエーション) | Trackback
2016年 09月 13日

北岳バットレス

d0138986_13153877.jpg
このところ異常なまでに天気が悪く悩まされますが、9月9日(金)〜10日(土)は、ピンポイントの好天をつかまえて北岳バットレス第4尾根を登ってきました。
貴重な好天であることがわかっているためか、金曜日の白根御池は平日でもかなりにぎわっていました。
そして土曜日のバットレスも、おそらく10パーティー以上が取り付いたのではないでしょうか?
d0138986_13155888.jpg
上の写真はトップで先行する友人のガイドパーティー。
左の美しいフェースはDガリー奥壁です。
Dガリー奥壁もとてもよいルートなので、第4尾根を登ったことのある方は、ぜひ次に行かれるとよいと思います。
d0138986_13153126.jpg
上の写真は、マッチ箱の上に立つ後続パーティー。
バットレス第4尾根は、やはりこのロケーションが魅力です。
d0138986_13154442.jpg
天気も予想以上によく、順調に登攀することができました。
夏以来、何度か山行が中止になっていたお客さまにも、ようやく登っていただくことができてよかったです。
北岳山頂で素晴らしい展望を満喫し、広河原までの長い下山の途につきました。
d0138986_13155197.jpg


by uobmm | 2016-09-13 13:27 | 南ア(無雪期バリエーション) | Trackback
2013年 08月 23日

北岳バットレス/Dガリー奥壁

d0138986_1162822.jpg

先週末に出かけた北岳バットレス。
土曜日はピラミッドフェースから4尾根、日曜日はDガリー奥壁を登った。
ピラミッドフェースもDガリー奥壁もどちらも久しぶりだった。ピラミッドフェースも悪くないが、特にDガリー奥壁は改めてよいルートだと思った。
岩もかたくきれいだし、ハング、クラック、スラブ、チムニー……と内容もバラエティーに富んでいる。
d0138986_1127843.jpg

Dガリー奥壁に行く場合、4尾根マッチ箱から懸垂で降りて取り付くパーティーが多いと思うが(私もそのパターンで登ったことの方が多い)、今回はDガリー大滝からそのままDガリーをつめてとりついた。実はこのコースも悪くない。
Dガリー奥壁取付きまで、難しくはないが岩は悪くないし、ビレイ点もしっかりしている。ラインも直線的だ。
そして何より、4尾根のように混まない! 
この日はお盆最後の日曜日とあって、4尾根は多くのクライマーでにぎわっていたが、私たちは貸し切りのルートで快調にロープを伸ばすことができた。

バットレス終了点から稜線までは、南アルプスでも屈指ではないかと思える素晴らしいお花畑が広がっている。
7月下旬に訪れた時のような華やかさは失われていたが、よく見れば晩夏の花々がまだ種類豊富に咲いていて、これはこれでしみじみと美しかった。
d0138986_1126042.jpg



※)Dガリー奥壁に行かれる方は、カム1セットあった方がよいと思います。0.4~3番くらい。

by uobmm | 2013-08-23 11:26 | 南ア(無雪期バリエーション) | Trackback
2013年 08月 21日

クライマー

d0138986_10231297.jpg

photo by Ayako Yoshizawa

北岳バットレス第4尾根マッチ箱に立つクライマー。
クライミング2日目、私たちは4尾根ではなくDガリー奥壁を登ったので、いつもとは違うアングルで写真が撮れました。

by uobmm | 2013-08-21 10:27 | 南ア(無雪期バリエーション) | Trackback
2010年 07月 25日

北岳バットレス

d0138986_15302582.jpg

1週間前になってしまいましたが、18日に北岳バットレスを登りました。
残雪ひじょうに多く、取り付くのに少々苦労しましたが、天候には恵まれました。
北岳はすごい登山者の数でしたが、稜線のお花もいつにもましてにぎやかに咲いていたように思います。
d0138986_1530425.jpg


by uobmm | 2010-07-25 15:33 | 南ア(無雪期バリエーション) | Trackback
2009年 09月 07日

北岳バットレス第4尾根 スーパートポ

世に出回っている北岳バットレス第4尾根のトポ(ルート図)はアバウトでわかりにくいので、この際自分で書いてみました。
まだ完全ではないと思うので、今後また行く機会があったら、随時アップデートしていきたいと思います。

<アプローチ>
大樺沢二股から八本歯のコル方面に約15分登ると右からヒドンガリー(涸れ沢)が入る。明るければ明瞭だが、暗いと気づかずに通り過ぎるかもしれない。
ヒドンガリー出合から20〜30分でbガリー出合。bガリーも涸れ沢である。
左下に小さなスラブ状の岩が出てくれば(ペンキで右を指す矢印が記されている)、bガリーはすぐである。出合の少し上(bガリーの中)には大きなボルダーがあり、目印となる。
bガリー出合を過ぎてさらに一般道を登れば、水の流れるcガリー(バットレス沢)が右から入る。
bガリー大滝を目指す場合、ここまで来たら登りすぎなので引き返さねばならない。
d0138986_07485181.jpeg



①bガリー大滝~4尾根
bガリー出合から、丸い大きなボルダーを目印にbガリーへ入る。踏み跡はbガリーの左(右岸)につけられているので、踏み跡を見つけて、ガリーから右岸の踏み跡に入る。踏み跡は以前は比較的明瞭であったが、最近では何箇所かわかりにくい箇所もある。
年によるが、bガリー大滝取付きの下は例年7月末頃まで雪渓が残り、アイゼンやピッケルが必要な場合がある。また、雪渓とbガリー大滝取付きの間にシュルンドが開き、取付きが困難な場合もたまにある。
bガリー大滝は正面右手の溝状がルートで、登りやすい。通常2ピッチで登るが、50mロープでもあるいはぎりぎり1ピッチで抜けられるかもしれない。大滝を登り終えたらアプローチシューズに履き替え、踏み跡を辿る。左に進み支尾根を越えればcガリーに出る。cガリーを渡れば目指す4尾根である。cガリーを渡り、そのままトラバース気味の踏み跡をたどると、後述する「4尾根下部」の途中に出るが、cガリーを少しつめてから4尾根の大テラスに上がるルートが一般的であろう。cガリーを渡り、cガリー右岸を少し登ると、赤ペンキで大きく「4」と書かれた数字が書かれた岩が現れる。ここから易しいスラブ状の岩を登れば、正規の4尾根1ピッチ目取付きである「大テラス」に出る。

②dガリー大滝、第5尾根支稜など
cガリー(バットレス沢)は水が流れているので間違えることはない。ただ、すぐ上で出合うdガリーは、知らぬまに渡っているかもしれない。踏み跡はdガリーの右岸側から入るようにつけられている。一般登山者が間違えないように赤ペンキで❌がつけられている(消えかけているが)。この踏み跡はしばらくdガリー右岸を登ったのち、dガリーを渡ってcd中間稜に入るが、ここも迷いやすい。迷ったら、dガリーの中に入り、cd中間稜に上がれそうな踏み跡を探すとよい。cd中間稜に入れば、その後踏み跡は比較的明瞭である。樹林の中の急登を終えれば開けたお花畑に出る。明るくなっていれば、バットレス下部岩壁の眺めがよいところだ。
正面の三角の岩がピラミッドフェース。取付き付近に十字クラックが発見できるだろう。十字クラックの右の白い岩がcガリー大滝。十字クラックの左のガリーがdガリーである。5尾根支稜やdガリー大滝取付きへは、お花畑の中の踏み跡を辿り、途中から左にトラバースする踏み跡に入る。このあたりでは通常明るくなっているので迷うことはないだろう。
5尾根支稜はどこからでも取り付けるが、左端のハーケンが1本ある小テラスからが正規であり登りやすいし、荷物も広げやすい。ただし、雪渓が残っている場合は臨機応変となる。

5尾根支稜は下部岩壁で一番容易だ。残置は少ないが問題ないだろう。トポでは2ピッチとなっているが、20~30mで切って3ピッチで登るとよい。平坦なテラスに出て5尾根支稜は終わる。
さて、旧いトポも最近のトポも、すべて下部岩壁はこれで終わるかのように記述されており、それだけ見ると5尾根支稜終了点から横断バンドに入るように錯覚する(というか当然思いこむ)。が、実は横断バンドはまだ上である。
5尾根支稜終了点からdガリーを少しロープレスで上がり、傾斜が増したところで再びスタカットに切り替えてdガリーを攀じる。ピンはないがキャメロット0.5、0.75などが要所で決まる。30mほどで横断バンドに出て、アンカーを見つけることができる。
4尾根へはそこからやや下り気味の踏み跡を右に注意して歩くと崩壊箇所となる。崩壊箇所手前から右上バンドを上がればピラミッドフェース(従来の6ピッチ目)取付きである。
4尾根へ行く場合は崩壊箇所をトラバースするがけっこう怖い。ここが崩壊してこのトラバースが危険となってしまったために、近年4尾根を目指す人はbガリーからアプローチするようになったのである。心配ならロープを使おう。
十分注意して崩壊箇所のトラバースを終えれば、尾根を回りこんですぐに「4尾根下部」1ピッチ目の取付きとなる。ここはトポ上の4尾根取付きではなく、あくまで後述する「4尾根下部」取付きなので誤認なきよう。
4尾根を登る場合、ここから「4尾根下部」を登ってもよいし、さらに踏み跡をたどってcガリーに出、前述したようにcガリーをつめて「4」のペンキマークのところから「大テラス」に出てもよい。
なお、下部岩壁のcガリー大滝を登れば、崩壊箇所のトラバースをせずに4尾根下部取付きで出られるわけであるが、cガリー大滝はむかし登って難しかった記憶がある。dガリー大滝は出だしの凹角をのぞけば難しくはないが、いずれにしろ5尾根支稜が一番登りやすく、かつ落石からも安全である。


<4尾根下部について>
かなり明瞭なルートであり、昔から登られているはずなのに、私の知るかぎり現在に至るまでトポに一切記載がないのが、これから記す「4尾根下部」である。

1ピッチ目) 崩壊地の怖いトラバースを終え、尾根を回り込むと平坦な取付きに出る。そんなに易しくはないが悪くないピッチ。10~15mくらいでリングボルト2本の打たれた2ピッチ目取付きに出る。
2ピッチ目)ピラミッドフェース(6ピッチ目)取付きからトラバースしてくると、このピッチの取付きに出る。
きれいな岩に走るクラックを登る。ピンはほとんどないので、キャメロット0.5~1番などが有効。空身なら5.6くらいなのだろうが、荷物があると5.8くらいに感じられる。4尾根全体を通して核心のピッチの一つである。
3ピッチ目)頭上はハングしているため、右から巻いて登る。木をつかみながら濡れていることの多いスラブを登り、踏み跡を左にたどってリッジに戻ったところでピッチを切る。
4ピッチ目)10mほど登るとビレイ点があるので短く切る。
5ピッチ目)頭上のかぶりぎみのリッジを登るが、右から巻き気味に取り付くこともできる。途中右にせり出した小さな岩を越えるところがワンポイントだけちょいムズ。
6ピッチ目)10~15mの難しくない岩を登ると、ようやく「大テラス」である。ここはルート中で一番の休憩適地だ。それにしても、ここまでの下部6ピッチがトポに記載されていないのは、かえすがえすも不思議である。
ここまでよくわからないで登ってきて、ここが本当の“取付き”だと気づいたものは、「えっ、こんなに登って、やっと取付き!?」と、必ず驚くことになる。

※4~5ピッチはリンク可能。つなげた方がベター。

<4尾根>
1ピッチ目)ハンドサイズよりやや広めのきれいなクラックを登る。ピンはわずかしかないので、キャメロット3番があると安心である。荷物背負いグレードで5.8くらいか? 4尾根下部2ピッチ目とならび、4尾根全体を通しての核心部と言える。20m
なお混雑しているとき、このピッチは右から巻いて登ることもでき、そちらの方が易しい。
2ピッチ目)リッジの左気味を35mほど登り、さらに10mほど右上(易しい)すると通称「白い岩のクラック」下に出る。45m
3ピッチ目)白い岩のクラックを登る。易しい。35m
4ピッチ目)10mほどで三角形の小垂壁の下。10m
5ピッチ目)小垂壁を越え、そのままリッジをたどればとうとうマッチ箱の頭である。30m
6ピッチ目)懸垂下降15mくらいでレッジへ下りる。
7ピッチ目)旧・枯れ木テラスまでは1ピッチで届かないので、ある程度ロープを伸ばし、切る。
8ピッチ目)旧・枯れ木テラスからリッジを左にトラバースし、城塞チムニーの下まで。
9ピッチ目)チムニーを登り、ハイマツでビレイ。この最終ピッチは少し難しい。0.3、0.4番サイズのカムがあると助けになる。
目の前の易しい岩を40mほどロープレスで上がれば、ゆっくり休める広場に出て登攀終了となる。
広場からは左に上がる踏み跡をたどる。お花畑の中のほぼ明瞭な道。約20分で北岳山頂に至る。

※上部崩壊以降のルートどりに書き直しています(2013年7月)





by uobmm | 2009-09-07 06:41 | 南ア(無雪期バリエーション) | Trackback